奮闘記 4 ☆ 35年間を取り戻す

付箋に書いた内容を主人に見せた。

『できない事が多くてやっぱり無理なんだけど。』

私はこの時、

別にこんな事しなくても生活していけるしもうやめよう。

と思っていた。
(まだ何も始めていないのにやめるもなにもない)

『自分がやれないことがあると、そうやって逃げてきたやろ。』

と主人から言われた。

『そうやって、やりもせずに目の前の事から逃げてきたやろ。
さやちゃん、いいよ、やらなくていいよって周りから言われて鵜呑みにしてきたやろ。
何が無理なの。やりもせんと無理無理言うな。』

主人の口撃はまだまだ続く。

『血反吐吐くくらい何かに取り組んだことないやろ。
ちょっと無理したら、もう疲れた 休む って続かんかったやろ。
今、無理しなかったらずっと変わらんわ。』

『家の事ももうやらなくていい。ずっと寝とって。』

図星だった。
そして、私は泣いていた。

主人は、普段、私の好きなようにやらせてくれている。
ただ、それはやる事をしっかりやっていたら、の話。
それまで、ここまで言われた事がなかったので、情けない気持ちとよくわからない感情で気持ちがえぐられた。
普通なら、離婚したいと思うくらいであるが不思議とその気持ちはなかった。

『俺がここまで言うのはさやちゃんが自分で柱を作ってほしいからだよ。』

当時、舅が大病を患い手術をした。
幸い、手術は成功したけど、主人はこう思ったそうだ。

自分がいなくなったら、さやちゃんはどうやって生きていくんだろう。
武器になる物が何もないし、しっかり自分で歩いていけるだろうか。

そんな時、私の社会復帰のタイミングがあり、この子にビジネスをやらせよう。
と思ったと。

ビジネスの勉強、経験を積むことで生きる術を得ることができるからと。

『これまで、出来ないって思い込んできたやろ。それは練習や準備をしてこなかったからや。事前に練習や準備をすれば、自信もつくし、立場が変われば考えも発言も変わる。』

『俺もビジネスの事、教えてあげるからやれないできないで過ごしてきた35年間を取り戻そう。』

主人の本音と気持ちをこの時初めて知った私は、
今ここで変わらないといけないんだ。
と痛感した。

そして、私は主人と一緒に創業準備に向けて歩き始めたのである。